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琉球列島はどのようにできたか

琉球通史 001

沖縄本島の北部には山が連なり、宮古島には平らな土地が広がっています。同じように海に囲まれた島でも、その姿は大きく異なります。

琉球列島(りゅうきゅうれっとう)は、九州の南から台湾の近くへ弓なりに続く島々で、奄美、沖縄、宮古、八重山などを含みます。その成り立ちをたどると、今は陸にある岩石から、かつての海の姿が見えてきます。

琉球列島と周辺の海の深さを示す地図
出典:国土地理院「地理院地図」。
目次

島の土台は、海の底でつくられた

沖縄本島北部には、2億年以上前の海にすんでいたアンモナイトの化石を含む岩石があります。今の形の島が生まれるよりも、はるかに古い時代の記録です。

海底には、陸から運ばれた砂や泥、生き物の殻などが積もっていきます。それらが固まってできた岩石の一部が、後に島々の土台になりました。

海の底のものが、なぜ陸の一部になるのでしょうか。地球の表面は、プレートと呼ばれる巨大な岩の板に覆われています。プレートはゆっくりと動き、場所によっては別のプレートの下へ沈み込みます。そのとき、海底にたまった砂や泥などの一部がはぎ取られ、陸側に付け加わっていきます。

こうしてアジア大陸の東の縁に、岩石が押され、折り重なりながら集まりました。後に持ち上がった大地は、雨や川に削られて山や谷になっていきます。沖縄本島北部の山地には、このような古い岩石が広く残っています。

大陸との間に、深い海が広がる

島々の土台ができたあとも、大地の動きは続きました。現在の列島の太平洋側では、フィリピン海プレートが、大陸側のプレートの下へ沈み込んでいます。その境目に沿う海底の深い溝が、琉球海溝です。

一方、列島と大陸の間では、こうしたプレートの動きに伴って大地が引き伸ばされ、薄くなって沈む動きが進みました。そこに発達した細長い海底のくぼみが、沖縄トラフです。大陸の縁にあった地域は、この深い海によって大陸から隔てられていきました。

沖縄トラフが広がる動きは、何度かに分かれて起きています。久米島の沖合で採取された岩石を調べた研究では、この付近で大地が大きく沈んだのは、約200万年前以降と考えられています。

サンゴ礁が残した石灰岩の大地

大地が動く一方で、浅い海では、後に島の表面を覆う岩石がつくられていました。

サンゴの骨格や貝殻、小さな生き物の殻などが、サンゴ礁やその周りの海に積もり、固まってできたのが琉球石灰岩(りゅうきゅうせっかいがん)です。

沖縄本島では、約170万〜140万年前から、この石灰岩がつくられるようになったと考えられています。その後、海底の地層が持ち上がる「隆起(りゅうき)」によって、海の底だった場所が陸になりました。

宮古諸島でも、海に沈む時期を繰り返しながら石灰岩がたまり、約40万年前以降の隆起によって陸地が広がったと考えられています。海で積もった地層が持ち上がり、台地になったのです。さらに地面が割れてずれ動き、島々の形も変わっていきました。

石灰岩の島でも、沖縄本島の東に離れた大東諸島は、別の歴史をたどりました。大陸と陸続きになったことはなく、海の中で輪の形に育ったサンゴ礁が隆起した島々です。

こうした岩石の違いは、地上の風景だけでなく、地下を流れる水にも関わっています。

宮古島に広がる琉球石灰岩には、水が通る隙間や割れ目があります。雨水は地中へしみ込むため、地表には大きな川がほとんどありません。その下には、かつて海底にたまった泥からできた、水を通しにくい地層があります。地下水は、この層の上にたまり、地中を流れます。

地中にしみ込む水には、空気や土の中の二酸化炭素が溶けています。その水が石灰岩を少しずつ溶かし、割れ目を広げて洞窟をつくります。沖縄では、こうした自然の洞窟をガマとも呼びます。

海面が下がっても、海峡は残った

島々の輪郭を変えたのは、大地の動きだけではありません。寒い時期と暖かい時期の繰り返しも、海と陸の広さを変えました。

世界的に寒い時期には、大陸などに厚い氷が発達します。水が氷として陸に蓄えられるため、海の水が減って海面が下がり、浅い海底が陸に現れます。島の面積が広がり、近くの島とつながることもありました。

それでも、列島のすべてが一本の陸地になるわけではありません。沖縄本島と宮古島の間などには深い海峡があり、人々がこの地域に現れるころにも、島々の間には渡らなければならない海が残っていました。

約3万5千〜3万年前になると、琉球列島に人々の暮らしの跡が現れます。海を越えた先にあったのは、島ごとに地形も、水のあり方も異なる土地でした。人々の歴史は、こうした島々で暮らしを築くところから始まります。


主な参考資料

  • 新城竜一(2014)「琉球弧の地質と岩石:沖縄島を例として」『土木学会論文集A2(応用力学)』70巻2号、I_3–I_11。 論文PDF
  • 沖縄県立博物館・美術館「琉球列島のなりたち」。 解説
  • 沖縄県立博物館・美術館「おきなわの岩石豆知識」。 解説
  • 産業技術総合研究所(2018)「沖縄島の成り立ちには南北で大きな違いがあることを発見」。 研究発表
  • 琉球大学(2021)「沖縄トラフの伸張・沈降の時期は200万年前以降」。 研究発表
  • Watanabe, N. et al.(2023)“Geological history of the land area between Okinawa Jima and Miyako Jima of the Ryukyu Islands, Japan, and its phylogeographical significance for the terrestrial organisms of these and adjacent islands.” Progress in Earth and Planetary Science, 10, 40. 論文
  • 国立科学博物館「琉球の植物区系と自然」。 解説
  • 宮古島市「農業にかかわる水資源の概要」。 資料
  • 東京大学総合研究博物館(2025)「3万年前の黒潮は今よりも速かったらしい それでも丸木舟は琉球の海を渡ることができた」。 研究発表

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